(6)航空機の世界


 
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趣味の世界は何だってそうですが、その手の「専門用語」があります。もちろん飛行機だって。

特に飛行機ともなると、普段の生活になじみのないものばかりなので、ちょっとしたパーツの名前でさえもなおさらお堅い専門用語に聞こえてきてしまいます。

このページでは、空港で飛行機を眺めているときに知っていたらもっと楽しめるような、そんな言葉をご紹介。


ワイドボディ機 機内に2本通路がある、太い機体を使った飛行機のこと。だいたい200人以上が乗れる大きさの機体からワイドボディ機になっていきます。
機体は筒状なので、機体が大きくなると天井も高くなります。床下のスペースもその分広くなるので、広大な貨物スペースとしても使用できます。大型の旅客機は人を乗せるだけでなく、床下には荷物も載せて貨物輸送もできるようになっているのです。

大きな航空会社が主力として飛ばすA330やB777、もっと大きなB747やA380はワイドボディ機の象徴とも言える機種でしょうか。
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ワイドボディ機の象徴とも言えるB747-400。
ちなみにB747やA380のように客室が2階建てになっている飛行機は、1階部分を「メインデッキ」、2階部分を「アッパーデッキ」と呼びます。自然に使えると通っぽくてちょっとカッコいい?
ナローボディ機 機内の通路が1本だけの機体がナローボディ機。定員200人以下の小さめの飛行機はだいたいナローボディ機です。機体の直径が小さくなるため機内や貨物スペースの広さに限界が出てきますが、その分飛行中の効率がよくなります。

世界各国のLCCで使われるA320やB737といった機種はナローボディ機の代表格といってもいいかもしれません。
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プロペラ機もジェット機も、通路が1本ならナローボディ機。
どこの航空会社も目立つのは大きなワイドボディ機ですが、需要がさほど大きくない地域路線を強力に支えているのはこうしたナローボディ機なのです。
主翼
しゅよく
読んで字のごとく、飛行機を飛ばすのに使う大きな翼です。
この横に細長い翼が、飛行機を浮かばせる上向きの力=「揚力」を産みます。
内部にはタンクが入っており、この中に飛行中使う燃料がたくさん入っています。薄く見える主翼ですが、実は結構厚さがあるものなのです。

B777-300ER(上左写真)では、主翼の長さは片側だけで約29m。これだけの横に長くて広い翼が350tにもなる巨体を空に浮かべます。
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主翼の端にウイングレットという縦向きの小さなおまけの翼が付くことがあります。
長距離飛行では空気抵抗を減らし、燃費の向上に寄与します。
一方余計な翼が付く分、重量が増えます。短距離ではさほど効果を発揮しないため、長距離を飛ばない飛行機には付かないことがほとんどでした。

原油価格が上昇した現在では、短距離向けの飛行機でも装着されることがほとんどになりました。
水平尾翼
すいへいびよく
機体後方にある小さな翼。飛行機の種類によっては、水平尾翼の上の方につけられていることもあります。
この翼の役割は飛行機のバランスを保つこと。飛行機の鼻先(機首)が上を向けば下に向けようとする力が、下を向けば上に向けようとする力が自然と働くように設計されています。
長距離を飛ぶ飛行機の中には、水平尾翼の中も補助燃料タンクになっているものもあります。

後ろ側は「エレベーター」という動く部分がついており、機首の向きを上下に変えられるようになっています。
垂直尾翼
すいちょくびよく
機体後方にピンと立っているのが垂直尾翼。多くは航空会社のロゴやイラストが入っていますね。
この翼は飛行機の機首をまっすぐ風上、つまり進行方向に向けさせる、風見鶏のような役割を担っています。

垂直尾翼と同様、後ろ側には動く部分「ラダー」がついていて、それを動かすことで機首を左右に向けられるようになっています。
エンジン 飛行機の動力源。
旅客機では
プロペラで空気の流れを作って飛ぶ
「プロップエンジン」
と、写真のように
取り込んだ空気を爆発させて後ろに吹き出し、その反動で前に進んでいく
「ジェットエンジン」
の2種類が主に使われています。

エンジンは前に進める力だけでなく、発電機や空気の圧縮機も取り付けられ、機内で使う電力や空気の供給も担っています。
高いところを飛ぶ飛行機の中でも普段通りの呼吸ができるのは、エンジンが空気も一緒に圧縮して供給してくれているからなのです。
メインギア 日本語で「主脚」とも言います。
飛行機の重さをほとんどすべて支えるのがメインギア。ドスンという着地の衝撃も支えられるように、軽量かつ頑丈に作られています。

着陸したときに減速するための強力なブレーキも備えられています。
ノーズギア 日本語で「前脚」
鼻先に取り付けられていて、機体の重さの一部を支えています。ステアリング機構が付いているので、地上を走るときはこのタイヤが左右に回って鼻先の向きを変えています。

主脚ほどの耐衝撃性はないので、強く叩きつけると機体にも悪影響が出てしまうことも。
ドスン!と着地してからゆっくりと鼻先を下ろすのはそういう理由もあります。
フラップ 主翼の後ろ側に、斜め下へ張り出しているのがフラップ。
上空で飛んでいるときに最も効率がよくなるように主翼は作られているので、どうしても低速では揚力が減って安定しません。

そこで下向きに出っ張りを出して、空気の流れを都合良くして安定性を出そうという仕掛け。
大型の飛行機では斜め後ろに張り出すことで、翼の面積そのものも増加させています。
スラット 主翼の前側に垂れ下がり、フラップと同様に揚力を増やす効果を生むのがスラット。
フラップと連動して下がるようになっていて、速度が上がればしまわれます。

同じ効果をもたらすもので、「ドループノーズ」というものがより機体側についている飛行機もあります。
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フラップスラットをアップにした写真。
フラップは機内から動作の見えやすい部分ですが、スラットは主翼前縁なのでほとんどわかりません。

低速で飛んでいるときでも安定するよう、飛行機には様々な仕掛けが用意されているのです。
APU
Auxiliary Power Unit
機体後部に搭載されているエンジンで、正式名称は"Auxiliary Power Unit"、日本語で「補助動力装置」
実はジェットエンジンは自分じゃ起動できません。APUから圧縮空気や電力の供給を受けて初めてエンジンがかけられます。

駐機中での機内への電力供給もAPUが担っていますが、大きな空港では地上から電力供給を受けられるため、出番は減っています。
万が一飛行中でもジェットエンジンが再始動できるよう、空気が薄い中でも動作する安定性が求められている、飛行機にはなくてはならない重要な機械です。
レジ番
れじばん
飛行機1つ1つに与えられている、固有の登録番号。クルマのナンバープレートみたいなものです。
日本では今まで「JA(国記号)+数字4ケタ(例:JA8394)」の6文字でしたが、現在は「JA+数字2ケタ+アルファベット2文字(例:JA15KZ)」もしくは「JA+数字3ケタ+アルファベット1文字(例:JA861J)」も使えるようになりました。

旅客機だけでなく、法律で「航空機」に分類されるものは必ず登録されていなければなりません。
翼端灯
よくたんとう
主翼や水平尾翼の先端にあるランプ。
主翼のうち、左の先端は赤色、右の先端は緑色。水平尾翼は左右ともに白い光がつきます。両主翼の先端は白い光がチカチカ点滅するようにもなっています。

飛行機の存在や方向を周囲に知らせるためにあるので、地上を移動している間から点灯しています。
アンチコリジョンライト 「衝突防止灯」とも呼ばれます。
飛行機の上部と下部に設けられているランプ。ピカッ、ピカッと一定の周期で、カメラのフラッシュのように光ります(閃光灯)。

これも飛行機の存在を周辺に知らせるための灯火なので、地上を移動している間から光っています。
ランディングライト 地上を走行するときや、離着陸といった地面に近いときに点灯し、地面を照らすライト。左右の主翼の付け根に取り付けられています。

機種によって違いますが、基本は左右一対ずつ。大きな飛行機では左右二対ずつ4灯ついているものもあります。
タキシングライト 地上を走行するときに使うライトで、前脚に取り付けられています。飛行機の進む方向を照らします。

飛行中は前脚と一緒に収納されてしまいますので、ランディングライトと違って飛行中は使いません。

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